力学2 運動量
なんで「運動量」なんてものを考えるの?
という疑問を持ったことがある方もいると思います。「系を決定するにあたっては、質点の位置だけでなく運動量も必要となるから」という説明も可能ですが、高校の物理においては「主に二体問題を解くときに必要だから」という感じでしょうか。
作用反作用の法則によって、衝突の計算ができるようになります。そのための準備をしましょう。
今回やることは、2つの物体の衝突前後で運動量の総和が変化しないことを、作用反作用の法則を用いて導出することだけです。
今、二つの球AとBとがあり、それぞれの速さと質量をとします。今回、速さは右側を正としますね。AがやがてBに衝突するとします。
衝突前後で、2球の運動量の総量が変わらないことを、作用反作用の法則を用いて証明します(運動エネルギーに関しても同じやり方で導ける)。
運動量保存則
衝突の間、Δt秒間だけ2球が接していたとします。また、このΔt秒間、AがBに加える力の平均をFとします。
つまり、Δt秒間、Aは平均して力FでBを押すということです。このとき、衝突によってAがBに加える力積の大きさはFΔtですね。
一方、BがAに加える力積の大きさは、作用反作用の法則により同じく FΔtです(ただし上のFΔtとは力の向きが逆)。
衝突後のA,Bの速さをとすると、
Aについて:
Bについて:
二つの式を足し合わせると、
となり、衝突前後で運動量の総和が変化していないことがわかります。
運動エネルギーに関しても、運動量と同じように導けます。ぜひ考えてみてください。
作用反作用の法則を用いて、運動前後において
エネルギー
運動量
が変化しないことがわかりました。では次回これを用いて、実際に計算を行なってみましょう。