力学1 運動の法則
力学は、運動の三法則から出発します。
運動の三法則とは
・慣性の法則(運動の第一法則)
・運動方程式(運動の第二法則)
・作用反作用の法則(運動の第三法則)
の三つです。どれも聞いたことがあると思います。一つひとつ説明していきますね。
慣性の法則
「あらゆる物体は、力によってその運動が変えられない限り、静止状態、あるいは等速直線運動の状態を保ち続ける」
皆さんは当たり前だろと思うかもしれませんが、そうではなかった時代もあるんです。説明の例として、石を投げたときの運動を考えましょう。石は放物線を描いてやがて地面に落ちます。投げた後は、地面と平行方向には力が働かず(空気抵抗はありますが)、鉛直方向にのみ重力が働くということは、現代では常識であると思いますが、あのアリストテレスは、「石を投げる瞬間は、手が石を押す。それ以降は、石によって退けられた空気が石の後ろに回って石を押す。それによって石は動き続けられる」というようなことを言っていたんです。信じられますか?(笑)あのアリストテレスも、こんな間違いをしていたんですね。
このバカげた説明は、のちにガリレオによって退けられました。
運動方程式
「運動量の変化は、加えられた力の大きさに比例し、その力と同じ方向に生じる」
速度、質量の物体の運動量はで与えられます。はベクトルです。大学では、ベクトルは太字で表すことが多くなります。
上の慣性の法則では、力が働かない場合を考えました。では力が働くとどうなるのか?ということを述べたのがこの法則です。数式にすると
など色々と表し方はあります。
基本的には、運動方程式を用いて色々な考察を行なっていくことになります。
作用反作用の法則
「二つの物体が相互に及ぼす力は、その大きさは常に等しく、その方向は常に逆向きである」
運動方程式は、ある一つの物体に着目した場合の法則でした。そこで、物体の数を一つ増やして、二つの物体が関係する運動を調べる際に基本となるのがこの法則です。この法則を用いて、衝突前後でのエネルギー保存則、運動量保存則などを導くことができます。これらの保存則を用いると、衝突後の物体の運動を追跡することができるようになります。
これらを用いれば、物体の軌跡や衝突後の物体の速度などを計算で求めることができるわけですが、それができるようになったのもせいぜいこの数百年。このようにして少しずつ、自然に隠れている法則が明らかになっていったんです。