人間は遺伝子を作り直している?
人間の体には(もちろん人間だけではないけれど)免疫機能が備わっています。
そのおかげで、外からウイルスが入ってきても対応することができる。
抗体を作って対抗しているわけです。
驚くべきことに、新しい型のウイルスに対しても、抗体を作り出すこともあります。
ところで、抗体とはタンパク質であり、タンパク質は遺伝子をもとに作られます。
ということは、今、ウイルスA、ウイルスB、ウイルスC・・・というふうに、人間が抗体を持っているウイルスを並べていったとき、その数だけ遺伝子が存在することになります。また、新しい型のウイルスXに対しても抗体を作り出せた場合には、その分の遺伝子も持っているということになりますね。
・・・少しおかしいと思いませんか?というのは、このまま話を進めると、
・遺伝子には、未知のウイルスに対する配列も含まれていることになる
・遺伝子が膨大な量になる
というおかしな点が出てきます。
これを解決して、1987年、ノーベル生理学・医学賞を受賞したのが利根川進さんです。
彼は、「遺伝子は、侵入してきたウイルスを倒すために遺伝子を再編して、対抗する」という主張をしました。これによって抗体の多様性を説明し、ノーベル賞選考委員から「100年に1度の大発見」とまで称されました。
もう少し詳しいことが、こちらの本に書いてあります。彼へのインタビュー本です。
「大秀才はサイエンティストに向かない」「サイエンスの9割は肉体労働」など、科学者がどんなものなのかも少し見えてきて、結構面白かった。
精神と物質―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか (文春文庫)
- 作者: 立花隆,利根川進
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