kimamanikakuの日記

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エネルギーとは?1

まえがき

今回は、エネルギーについて書きました。第一回です。

 

エネルギー保存則ってなんとなく当たり前のように思えます。この法則の発見者は、マイヤーとヘルムホルツとされています。発見者の名前が残っているということは、それより前の人にとっては当たり前ではなかったのでしょう。上の二人は、どのようにしてこの法則に至ったのでしょうか。高校の物理や化学の基本的な知識があれば理解できると思います。読んでいただけたら嬉しいです。

さて、世の中には色々な現象があります。例えばボールの運動は力学的現象であり、静電気や雷などは電気的現象といえます。他にも熱的現象(水に氷を入れると冷たくなるとか)、磁気的現象(磁石がくっつくとか)などさまざまです。十円玉が酸化して黒くなるのは化学的な現象と言えますね。ニュートン運動方程式から100年ほど経った18世紀後半、このような異なる種類の現象の間には何かしらの関係があるようには思われていたものの、まったく別々のものであると考えられていました。

今回は、上で見た力学、熱、電気、磁気、化学のそれぞれの現象が結び付けられていく過程をご紹介します。エネルギーという概念は、これらの間の関係を考察していくことで生まれた概念なのです。ちなみに今回出てくる用語は、

ボルタの電池
エルステッドの実験
電磁誘導の法則
ジュールの法則
質量保存の法則


などです。わくわくしてきませんか?

 

化学と電気

さて、まずは化学でやったボルタの電池を思い出してください。銅と亜鉛イオン化傾向の違いによって電流が生じるというやつです。こもボルタの電池は1800年に開発されましたが、これによって化学的効果が電気的効果に変換されうることが示されました。イオン化傾向という、元素の化学的性質が、電流という電気的現象を生み出しているというわけです。

 

電気と磁気

それから20年が経った1820年、電流を流すと、その周辺に磁場が生み出されるということが実験的に示されました。実験者の名前をとって「エルステッドの実験」といいます。これによって、電気的な現象(電流の流れ)が、磁気的な効果(磁場)を生じうるということが示されたわけです。

またその後、コイルに磁石を近づけたり遠ざけたりすると、コイルに電流が生じることも示されました。これは1831年にファラデーが発見し、電磁誘導の法則と呼ばれていますが、これによって磁気的な現象(磁場の変化)が電気的な現象(電流)を生むということが示されたのです。エルステッドの実験では「電流→磁場」でしたが、今回は「磁場→電流」というわけです。


熱と電気

 

1840年、ジュールは抵抗をつけた回路に電流をt秒間流したときに生じる熱はtRI^2であることを示した。これはジュールの法則と呼ばれます。これによって電気→熱という関係が示されました。

他にも、物体をこすり合わせれば熱や静電気が生じますし(力学→熱・電気)、磁石同士を近づけると引き合ったり退けあったりします(磁気→力学)。具体例を列挙していくのはこれくらいにしておきますが、このようにして、別々であると考えられていた諸現象は実は繋がっていて、相互に変換可能であることが明らかになっていったのです。残念ながら教科書では、もはや科目が違うものすらありますが、こうして見ると、繋がりがわかるでしょう。

 

保存の概念

さて、異なる種類の現象どうしが繋がっていることはわかりました。やがてそこから、「これらの転換の前後で何らかの量が保存しているのではないか」という考えが生まれたのです。
すでに18世紀後半には、化学反応前後での質量保存の法則がわかっていましたし、物理でも運動量保存などが認められていました。科学者は、異なる現象間の間にもなんらかの保存を見出そうとしたのです。
 

熱力学と関係している

では一体、何が保存されるのか?

当然みなさんは、「エネルギー」と答えるでしょう(笑)。実はこの問いは、熱力学の発展と密接に関わっているのですが、ここでもう一度上で出てきた年代を確認しておきましょう。

1800年 ボルタの電池(化学→電気)
1820年 エルステッドの実験(電気→磁気)
1831年 電磁誘導の法則(磁気→電気)
1840年 ジュールの法則(電気→熱)

ジュールらによって、1840年代ごろからここから、熱力学が勃興していくのです。長くなりましたので熱力学の話はまた次回にしようと思います。

読んでくださった方ありがとうございました。